こんにちは、寝るときはマスクを付けるbokuです。
今回は、XOYで発見した面白い漫画「 透明な同居 」をレビューしたいと思います。
色々と今生きている現状を考えさせられる漫画なので、おすすめです。
あらすじ
新居に引っ越した百合は、いわゆる、見える人だった。
しかし、幼少期のある出来事から、周りに幽霊が見えることを隠しながら生きてきた。
当然幽霊に対しても、見えない人のように振る舞った。
しかし、新居には既に一人の幽霊が住んでいた。
奇妙な二人の、透明な同居が始まる。
主な登場人物
沢山いますが、重要なのは結局この二人
百合
この物語の主人公。
幼い頃から、幽霊が見えるが、周りにはそのことを隠している。
幼少期にあったことがトラウマで、幽霊には一切関与しないようにしていたが、ひょんなことから高野純という幽霊と共同生活をすることになる。
翻訳の仕事をしている。
高野純
高校生の幽霊。
百合が引っ越しする前から住み着いていた。
死因は、自宅で友達とパーティーをし、飲酒した時に、吐瀉物が喉に詰まり窒息死。
一人が寂しく、初めて自分を認識してくれる百合に縋る。
因みに、わりとウブ。
面白さの理由
日常に幽霊がいる生活
僕は幽霊が見えない人間なのですが、見える人はどういったように幽霊を捉えているのでしょうか?
主人公百合は、最初はいつも通り無視をしていたのですが、夜寝ている時、ふと目を開けると目の前に純がいたことによる驚きにより、バレてしまいました。
ただ、一度バレてしまったとしても、また無視をすれば良いはずなのに、次第に純を受け入れ始めます。
それは何故でしょう?
慈愛、慈悲?相手を可哀想と思う心、自分を可哀想と思う心、逃避、色々と考えられますが、僕は「優しさ」と一言でまとめます。
百合の幼少期
最初に書いたとおり、百合は幼少の頃から幽霊が見えます。幼い頃は、普通に幽霊と会話していました。
ある日同級生が事故に会い命を失いました。
百合は幽霊が見えるので、コンタクトを取ります。
最初は仲良く、話すのですが、生きている人と同じように、次第にわがままになっていきます。百合は生きている現状があるので、従うままだと、当然生活に支障が出ます。
なので、今日は一緒に遊べないと、一線を置きます。すると亡くなった同級生は叫びます。
一人ぼっちにしないでと泣いて叫ぶ同級生を無視すること、これが幼少期の百合の決断でした。
ここから、一切幽霊には干渉しないようにしようと心に決めた百合。このエピソードが先程記述した、「優しさ」の理由に繋がります。
優しさの理由
要するに、相手と自分を慈しむということです。相手のためを思うという点と、自分のためを思うという点、この両方ができないと優しさとは言えません。
何故なら、相手の為を思いながら、自分を傷つける行動は、自己犠牲だからです。百合は幼少期の経験、純との出会いからこの優しさという点に気づき始めます。
二人の心境
純が消えることを躊躇う理由
幽霊は何故存在するのでしょうか?
よく耳にするのは、「現世に未練があるから。」という理由ですが
僕もそう思います。今生きている現状でも未練というのは、日々強くなっていきます。
それでは純の未練は何なのでしょうか?
僕の考えは、単純に「生きていたら、きっと楽しかっただろうな」「寂しい」という未練です。
学生時代に戻りたい、そんな声をよく聞きますが、本当に学生時代は楽しいですよね。(いじめられている場合は戻りたいなんて考えないと思います)
更に純はクラスの中心人物でした。最高に楽しい中、本当は訪れる予定だった楽しさも味わえなくなるのは残念ですよね。
なんで俺だけ・・・って絶対に考えます。
なので、純は「生きていたら、きっと楽しかっただろうな」という気持ちをどうにかして掴みたいと考えているはずです。
そこで初めて、自分が見え、会話もしてくれて、外見も魅力的な百合が、突然家にやってきたら、誰でも期待しますよね。
この人と一緒なら楽しさと寂しさ同時に満たせるのではないか?と純は考え、現世に残り続けていると推測しています。
翻訳という仕事を貰った純
アメリカに7年住んでいた純は、百合の翻訳の仕事を手伝います。
純のやることと言えば
・ぼーっとする
・猫と戯れる(一方的に)
・百合と話す
・テレビを見る
基本これだけです。
その中で、家で仕事をしていた百合に、手伝うといい、任せられた仕事が「翻訳」です。
実際翻訳はどうでもいいんですけど、「仕事」というキーワードが重要だと僕は考えています。
人はそれぞれ役割を持っています。生きていくためには役割が必要なのです。
鬱病改善には聞き手と逆を使って生活をするといい、という話を以前耳にしました。何でも、過去と未来に向いている目線を「今」に集中させるという効果があるからだと言います。僕はそれと同じことだと考えています。
翻訳している最中は、過去や未来に向いていた目線を今に戻します。
それだけで純は少し安心します。やることがあるというのは、とても大事なことなのです。
少しづつ変わっていく二人
百合と純は、共同生活をすることにより、色々なことに気が付きます。
何故もっと優しくできなかったのだろうか?
二人の過去、傷を少しづつ分かり合っていきます。
心境がわかりやすい例はこれ
翻訳の仕事をしていた二人、純は言います。
「英語が難しいという訳ではなく、字が汚くて読めない」
百合もそれに気づいて、一人で仕事をするとこうなると話します。
すると突然、家が停電にあってしまいます。
人は暗闇を本能的に怖がる傾向があります。百合もその一人で、「誰もいないのに、誰かいる気がする」感覚に陥り、怖くなってその場から動くことができませんでした。
純は察したのか、一階の様子を見に行き、「人の気配ない、キッチンで何かが落ちただけ」と大声で伝えます。
百合はこの一言に救われました。ここで少し純は自分のことを分かってくれる存在だと認識したんだと思います。
一人で仕事をすると字が汚くなる。と話していましたが、この停電があった後は、字が読みやすくなっています。
「一人ではなく、二人」という視点に変化したのです。
つまり、純と一緒に暮らしているという考えになり、相手を思いやるという感情に気づいたということです。
このように二人の関係は少しづつ、透明ではなくなっていっています。
まとめ
透明な同居 は、良い意味で売れてほしくない、マンガ
この現象は、音楽などで特にあるのですが、自分の所有物ではないのですが、マイナーな漫画かつ、面白い漫画はあまり有名になってほしくありません。
自分が嫌いな人が違った解釈をすると苛々してしまいますし、売れた途端、興味がなくなってしまいます。
ただ、この現象に陥った漫画は例外なく素晴らしい漫画です。自分のものにしたいと思わせるほど、考えさせられる内容だし、実際面白いです。しかも無料で全話読める。
こんなことってあるのでしょうか?(あります)
皆さんも、無料なので、色々と考えながら透明な同居読んでみてください。
みんなのコメント
何度読んでも涙が溢れます。
まず1話の純の寂しさを感じて込み上げてくるものがあります。
生きる人との世界と亡くなった人との世界。
交わる事のない2人の切なくも深いストーリー。
名作です。
涙が溢れて止まりませんでした。
今まで出会った漫画の中で一番尊く儚く素敵な漫画です。一番大好きです。 忘れていた何かを思い出させてくれるような素敵な作品でした。 触れ合えるのがどれだけ幸せか。いつでも話せるのがどれだけ幸せか。噛み締めながら生きていこうと思えました。少し寂しいですが この素晴らしい漫画を皆に読んでもらいたい!名作です。ストーリー構成何もかもが素敵でした。 書籍化希望!!!!!!
もう無理こんなに悲しい気持ちになるなんて…僕自身あまり漫画とか小説のキャラクターに感情移入するタイプではないのですが最後は涙が止まりませんでしたね。
話の内容も凄く面白くて感動したけど、絵のタッチもなんか寂しげな感じが出ててすごい好きでした(小並感)