皆さんは「ぼくのなつやすみ」というゲームの 8月32日 というバグをご存知だろうか。
母親が臨月を迎えたため、夏休みの間だけ田舎のおじさんの家に預けられることになった9歳の「久保田ボク」が、夏休みの1ヶ月間、昆虫採集や魚釣りなどをして遊ぶ、夏を感じる良作ゲームです。
このほっこりするゲームにはとても有名なバグがあります。ネットでも恐怖する声が多々ありYoutubeにも多数の検証動画が挙げられています。本記事では、僕なりにその一部始終をまとめていきます。
ぼくのなつやすみとは
冒頭でも若干記載したのですが、知らない方のために、もう少し詳しい概要を記載します。
ミレニアムキッチンという会社が制作した、2000年夏に発売したplaystation2のゲームです。
昭和50年の北関東に存在する架空の田舎「月夜野」という場所が舞台になっています。
母親が臨月を迎えたため、夏休みの間だけ田舎のおじさんの家に預けられることになった9歳の「ボク」が、夏休みの1ヶ月間、昆虫採集や魚釣り、洞窟探検などをしてただただ遊ぶゲームです。因みにゲーム内の環境音はモデルとなった山梨県の道志村の現場で収録されたリアルな音源を使用しています。
昔のプレステゲームであって、8月32日以外にも多くの裏技、バグ技がある模様です。
ぼくのなつやすみのバグ 8月32日 とは?
通常8月31日までしかない夏休み期間を、ある工程を行うことで32日以降の世界へいけるバグです。
キャラクターのテクスチャがむき出しになったり空いているはずの扉に鍵がかかっていたり、ボクくんが桜木花道になったり、とんでもない現象が雨あられのように降り注ぎます。
32日目に行く方法
8月32日 目に行く方法はとっても簡単です。
- 本編を一度クリアする
- タイトル画面の「夏休みの思い出」を押す
- クリア済みのデータを選択する
- 絵日記を見る
- 矢印を「戻る」に合わせて「上」を押すと矢印が移動するので○ボタンを押す
- 絵日記を書いて就寝
上記工程を行い、目を覚ますと、 8月32日 の世界へと行くことができます。
8月32日の世にも奇妙な現象
さて、どんなオカルティックな現象が起こるのでしょうか?
文字が消滅する
このように所々文字が消えてしまいます。伸ばし棒や、クエスチョンマーク、数字などの記号が消えてしまうみたいですね。
ラジオ体操後に人間をやめる
こいつ、腐ってるぞ?
ラジオ体操後の朝食で、主人公であるボクくんとおじさん、詩ちゃんが腐敗します。
ボクくんは桜木花道となり、おじさんは青鬼になります。詩ちゃんはオデコにカビが生えます。
おばさんは一見なんとも無さそうなのですが、がっつり透けています。
あれ?萌お姉ちゃんは何処に行った?と思いますよね、ちゃんといますよ。レベル5の超能力者です。
因みに朝食時のいただきます、ごちそうさまでしたの声もなんかちょっとおかしいです。
他の方の動画を調べたところ、魔女化したお姉ちゃんが表示されていたので、ちょこちょこ変わるみたいです。
何度も日々を重ねていくと以下のようになります。
あれ〜これどこかで見たことあるなと思ってぐぐってみたら分かりました。
これ、パリコレおじさんです。
うーん、モデルとしていそうな服を着ていますね。何処で買ったのでしょうか。
どちらにせよ、ラジオ体操後にせっせと着替えてド派手な衣装で飯を食らうモデルの鑑です。
秘密基地の友達も顔がカビルンルンに汚染されたり、陥没したりしちゃっています。
髪の毛を赤く染めるぐらい序の口だったということですね。
空も飛べるはず
人間を辞めたら、当然空も飛べるはず・・・はい勿論飛べます。
スピッツの聞きすぎでしょうか?縦横無尽に空を文字通り駆けています。
マギー司郎さんもびっくりです。
釣り竿とジョグレス
釣り竿とのジョグレスのやり方は以下のとおりです。
- 釣りができる場所に移動する
- 釣りの構えになったらメニューで網を使う
- ジョグレス進化
彼岸島ですかねぇ・・・。下半身が消え、釣り竿と一体化します。
こんな夏休みあるのでしょうか?
最後の絵日記がどえらいぐらい怖い
ええ・・・、8月35日目の絵日記なのですが、もはや書けたのか書けていないのか判別できていない状況です。
謎の虫
8月32日以降でメニューを見ると、採取した昆虫が見れるのですが、これなに虫ですか?
一部始終は下の動画も参考になります。
製作者である綾部和さんのコメント
せっかくなので8月32日を発明してしまった責任者としてはその話をしましょうか? …あれはぼくなつ1の発売後2年ほど経過してから発見されたものなんです。症状を聞いた瞬間「なんてナイスなバグなんだ」と不覚にも思ってしまいましたw その時点では単なる「就寝せずに翌日へ行けるバグ技」です
— 綾部和@ミレニアムキッチン (@ayabekaz) 2010年8月31日
どうやら意図して導入した裏技ではないようです。
絵日記画面では就寝時にのみ左上にスタンドのヒモが表示されて、クリックすると絵日記を書いて寝ることができるんです。ところが発売から2年後にヒモが出てない時でもカーソルがそこに移動でき、クリック可能なことが判明しました。いつでも眠れて翌日へ行けるんですw
— 綾部和@ミレニアムキッチン (@ayabekaz) 2010年8月31日
「いつでも眠れて翌日に行ける」ってフレーズなんか理想的だけどバグ画面見ると本当怖い。
製作者さんも2年経つまで気が付かなかったみたいですね。
夜以外はヒモのグラフィックが表示されていないから、まさかそこにカーソルが移動できて、クリックできるバグが潜んでいるとは誰も思いませんでした。あれはかなりかっちりデバッグしてるゲームなんですw
— 綾部和@ミレニアムキッチン (@ayabekaz) 2010年8月31日
かなりのデバッグをすり抜けた凄いバグだったんですね。
ゲームのルールを無視していつでも就寝して翌日へ行けるわけですから、シナリオはむちゃくちゃになりますが、ある意味便利でアナーキーなバグなんです。バグの隠れ方も(言ってはまずいかも知れないけど)結構好きでしたw
— 綾部和@ミレニアムキッチン (@ayabekaz) 2010年8月31日
日常に隠れた狂気みたいなのが垣間見れて僕も好きです。
ところがゲームクリア後の「思い出画面」から「絵日記」に入っても同じことができるんです。クリア日付が31日だから、翌日になっちゃって32日に行けます。これはまさに想定外の想定外でした。
— 綾部和@ミレニアムキッチン (@ayabekaz) 2010年8月31日
32日目には、別のやり方でも行けちゃうんですね、まさに想定外。
8月32日なんてデータは用意されていませんから当然むちゃくちゃになりますが、その部分はプログラミングが優秀なので、ドライバーが堅牢で、データが存在しない日時に突入してもボロボロになりながら動いてるんです。ある意味すごいことなんだけど、
— 綾部和@ミレニアムキッチン (@ayabekaz) 2010年8月31日
データが用意されていないのに動くのはたしかに凄い。
プログラマーが優秀なのも頷けますね。
さすがにデータがないまま動き続けるのは無理なので、ああいうホラーな見た目になっているんです。メモリーの狭間にある各種のドライバーにとっては無意味な情報を、無理やり視覚化するとああいうグラフィックになるということですね。
— 綾部和@ミレニアムキッチン (@ayabekaz) 2010年8月31日
データがない中、無理やり表示するとあのような見た目になるそうです。
ちなみにこれは(最初の)『ぼくのなつやすみ』PS版で出るバグです。残念ながら移植した『ぼくのなつやすみポータル』では発生しません。おしまい。
— 綾部和@ミレニアムキッチン (@ayabekaz) 2010年8月31日
PS版のみのバグだそうです。PS版はさぞ高騰しているだろうな〜って思いamazonで調べてみたら、なんと400円ほどで購入できました。なにそれ、すげえお買い得。
というわけで今日は8月32日です。
— 綾部和@ミレニアムキッチン (@ayabekaz) 2010年8月31日
ぼくのなつやすみはそういうゲームじゃない
ぼくのなつやすみは、当然ですがホラーゲームではありません。
8月32日目もそれはそれで楽しくてよいのですが、そこに至るまでの過程が本編なのでそれを忘れずに。(楽しみ方は人それぞれですが)
本編がいかに楽しいのかもAmazonのレビューを引用してご紹介します。
ただただ心に染みわたる作品です。
ゲームとして面白いのはもちろんなのですが、ストーリーと演出が非常に素晴らしい作品です。
終わっていく夏を儚く美しく彩っています。20代の自分でも不思議と懐かしく涙が出るのは、
恐らく日本人の多くが理想として抱く「日本の夏」が、この作品には詰まってるからなのだと思います。草薙の背景とキレイキレイの上田三根子さんの絵を融合させたセンスには脱帽です。(出典:amazon)
多分初めはなんでキレイキレイのキャラが出てくるんだ・・・?となりますが、もうそれが逆に良いというかシンプルなのでこのゲームにマッチするデザインなんじゃないかと思います。
この方が仰る通り、日本の夏ってこんなに美しんだと再確認できる素晴らしい作品だと思います。
僕もそこそこな田舎出身ですが、ここまで娯楽施設が無いわけではありません。ちょっとジャスコすら無い田舎というのにも憧れます。
おおらかなおじさんと元気いっぱいのおばちゃん、多感期なおねえちゃんと生意気な妹詩。詩にはムカッとくるよな事たくさん言われて「キイィィ!!」となる場面多しである。
一日中何をしても構わないという設定だが、朝から夕方までの時間が短くあれも、これもとアセってうろうろ走り回っている間におじさんが「しゅーりょー夕ご飯ができてまーす」と毎度迎えにこられてしまう。なんとか逃げれないものかと思うくらいいろんな事をしなくちゃいけない忙しい夏休みだ。夜は外に出れないし、あっという間の一ヶ月。
あと注目したい点はおばちゃんの夕飯メニュー!超豪華で食べたくなるようなものばかり。
おばちゃんたちの服が毎日微妙にローテーションが組まれてたり大きな発見も小さな発見もたくさんする楽しいゲームである。風景がとってもキレイで虫もリアリティーである。
短い夏休みというところ大いに共感できます。
社会人になって一ヶ月と聞くとなっげぇなと思いますが、子どもたちからすると、それはそれは短い夏休みなんですよね。
やりたいことが多すぎてテンヤワンヤ、疲れたからすぐ寝ちゃうけどラジオ体操のために早く起床する、そんなことを繰り返すうちにあっと言う間に学校が始まってしまいますよね。
働く内にどんどん忘れてしまう童心というのを思い出させてくれる良作、それが「ぼくのなつやすみ」だと思います。
まとめ
ぼくのなつやすみの8月32日、いかがでしたでしょうか?
様々な考察がある中、製作者さんのTwitterを参考にすると「裏技ではなくバグ技」ということが分かり、都市伝説的なことも一切ありませんでしたね。
ぼくのなつやすみがホラーゲームと言われる所以もバグということで落ち着いたので個人的にスッキリしたのですが、製作者本人も驚き、ナイスと思ったバグは後世にも語り継がれることでしょう。
最近のゲームは、こういったわくわくするバグが改善されているので、ポケモンも然り、わざとこういうバグ残してくれないかなぁ・・・みんなで考察する、そういった楽しみ方も昔ながらの良さな気がします。
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