僕が務める会社はビルの中にあるが、そこは供用トイレだ。勿論他の会社の従業員も使用する。
この洋式トイレにはウォシュレット機能が付いておりケツの穴を隅々まで綺麗にできる。
パワーは5段階で調節できるのだが、かねてから僕はケツの穴が脆弱でウォシュレットパワーは最弱の1を愛用している。
しかし困るのが僕以外の全ての住人がフルパワーで毎度使用しており脱糞後、設定をそのままにしてその場を去ってしまう。
ウォシュレットパワーに気付かぬ内に「おしり」ボタンを押したら大変なことが起きる。ケツの穴が裂けるチーズになってしまう。
なので最新の注意を払い使用している現状だ。ウォシュレットアフターは、パワーを最大にまで引き上げその場を去っているのだが、もしかするとこれが一つの間違いなのかもしれないと考えている。
次に入ってきた人も、本当は最大パワー以外の出力でケツを洗っているのかもしれない。そして退出時に気を遣って最大パワーに修正しているのかもしれない。そんなことを考えると出るもんも出なくなってきたのだ。
だから僕はあえて、最弱パワーでトイレを後にしてみた。そしたら次に入った時は最大パワーに置き換わっていた。
その次もその次も最大パワーのままだった。
要するに僕以外の住人はケツ穴が石でできており、最弱パワーのウォシュレットなどにわか雨程度の水しぶきだということである。
信じられるだろうか、最大パワーのウォシュレットはガノトトスのブレスであり、イチローのレーザービームであり、ジェノザウラーの荷電粒子砲であり、御坂美琴のレールガンでもある。つまり並大抵の人間じゃないとケツの穴が切れて僕もキレる。
そんな勢いが強いと綺麗になるどころか、うんこの粒子がケツ全体に満遍なく降り注ぐのではないかと恐れ慄きながらも呆れてしまう。
賢人ならウォシュレットパワーは最弱だ、これは間違いない定説である。
ウォシュレットバトルの話は尽きないが、もう一つ人によって意見が変わるのがペーパーアフターウォシュレット勢かペーパービフォーウォシュレット勢である。
きのこたけのこ戦争的な一見不毛なディスカッションだが、これは衛生面に大きく関わると僕は思う。
何故かというと紙で一度拭く前にウォシュレットで貫いてしまうと、まだ肉の洞窟にしがみついている大便の欠片を殺してしまい、うんこ のスーパーノヴァが生じるからだ。
最早、水で洗うという考え方より水で汚すという誰も望まないネガティブなエンドに至ってしまうだろう。
その反面、2、3度紙で事前に拭いてみるとどうだろう?
優しく大便の欠片を取り除くことで核爆発のような大惨事を未然に防ぐことができる。
その後川のせせらぎのような最弱パワーのウォシュレットで綺麗に洗い流すことによりケツ全体を清潔に保つことができる。
それでもウォシュレットは拭く前だ!そんで最大パワーだ!という前代未聞の輩に僕は言ってやりたい。
お前、ウォシュレットの気持ち考えたことがあるのかよ。
お前のケツに隠れて汚ねぇ水しぶきを顔面に浴びながらそれでもなおお前のケツを綺麗にしてくれるウォシュレットの気持ち、考えたことあるのかよ。
都合の良い時に呼び出されて、お前のケツを掃除した後、便器の中でお前をいつまでも見守ってくれるウォシュレットの気持ち、考えたことあるのかよ。
ウォシュレットという名前なのに、おしりっていう屈辱的なボタンを押されて呼び出されるウォシュレットの気持ち、考えたことがあるのかよ。
ウォシュレット最大パワー民、ウォシュレットビフォー民、そういうところだぞ。悔い改めろ。
僕はお前らとは違う、「ソナタの名は、おしりじゃない、ウォシュレットだ。」とハクのように優しく声をかけるようにボタンを押すし、個室を出る時、いつもありがとうなと微笑みかけてから後にする。
勿論、ウォシュレットの粗相も「全くお前って奴は、いつも俺を飽きさせねぇ」という顔で黙々と便座を拭くし、つまり何が言いたいかというとトイレはいつも清潔に使えってことだ。話はそれからだ。
みんなのコメント